2004年 ゴーヤの葉のおしゃべり
都内に引っ越して照り返しの強い炎天下の生活だが、さいたまで5年間続けた
市民農園が懐かしく、ビルの屋上でゴーヤやミニトマトを育てている。
ゴーヤはツルをどんどん伸ばし、あっちこっちに葉を繁らせるので心地よい日陰
ができ、少しは暑さをやわらげてくれているみたい。
小さい実でもスライスをサッとゆがいてサラダなんかにのせていただくと、ニガッ!
夏バテに効きそうです。自分で育てたという満足感がまた良い栄養になりそうな
のです。
しかし、この春はいろんなことがありすぎた。
引越しの他に、子供の進学、都電での初公演、身内の病気など立て続けにあり、
日々、一分一秒たりともボーッとできなかった。
あまりの忙しさに一年間続けた「そうざいや」のバイトはさすがに辞めさせてもらった。
きっと嵐が治まった頃、私はフヌケになってしまうかもと思っていたら、案の定、
ただ今猛暑とともに頭がフラフラして、毎朝起きられず何かをするとすぐ眠くなって
しまい、春の忙しさを切り抜けてきた力強さはどこへやらといったという毎日だ。
私は昔から波が大きくて、どうして淡々と進んでいけないのだろうと思うのだけど、
そんなにピーンと張りつめてずっと頑張れる人っているのだろうか。
常にバリバリ仕事をしているとか、スポーツで勝ち続けているとか、そういう人に誰
もがなりたいと願うけれど、それはきっと張りつめ続けるだけじゃない何かが必要
なんだろう。
それは心のやわらかさなのではないかしらん。
常に心がやわらかければ、外から見て大変そうでも余裕で頑張れる。でもどうしても
心がかたくなってしまう時だってあるよ。人間なんだから。
かたくなってしまったら、ダメな人間だなんて私は思わない。
ゴーヤと一緒に炒めよう! と冷凍庫から出したお肉のようにやわらかく解凍される
まで楽しみに待てばいいのだ。
焦ってしまったら美味しくないゾ! と自分に言い聞かせている。