2000年 木枯らしのおしゃべり

 

 よくマチガイ電話がかかってくる。

「鈴木さんですか?」「藤田さんですか?」「○○サービスですか?」ならまだいい方でいきなり「あたし」だとか「ヨーコ」などと言って一方的に話し出す人がいて困る。

するとこっちは「この声は誰だっけ?」とか「ヨーコさんとは10年以上も会ってないのに何故急にかけてきたんだろう?」とか脳みそをフル回転させて受話器を握り締める。

それなのに、「それでネ、おばあちゃん、聞いてよ。」なんてぬかすのでバアサンじゃねエ!と怒りつつ「あの、どちらにおかけですか!」と叫ぶと「小川さんじゃないの!?」なんて逆ギレしやがるから始末が悪い。

 それにしても、今の電話番号を使って6年余り、「オオウチさんですか?」のマチガイは後を絶たない。

番号の前の持ち主なのだろうが、電話局に問合せても対処ができないと言う。

親戚らしき人が一度「変ったなんて知らなかった。」とかけてきた亊があったが、その他はほとんどが教育関係の紹介だ。

「お受験の準備はいかがですか?」「○○ゼミですが。」「家庭教師派遣センターの紹介で○○大学の○○です。」などなど・・・

誠実そうな大学生がオドオドと自己紹介する度に、こっちは申し訳ないけど話しの腰を折りオオウチさんではない事実と事情を説明しなくてはならない。

中には「オオウチさんじゃないんですか・・・」としょげかえる学生もいてつい「オオウチさんじゃなくてゴメンネ。オオウチさんだったら良かったのに。」なんてバカな亊を考えてしまいそうになる。

まったく!こんなに多くの人に迷惑をかけやがって。

教育熱心なウチなのか何なのかしらんけど、そのオオウチってのはどんなヤツなんだ!? と思っていたら、ある日「オオウチ先生ですか?」という電話がかかってきた。エッ?オオウチって、先生なの?本人が教育者なわけ? 教育者の子ってのは、教育の攻撃に遭いやすいってわけ?

それが耐えきれなくなって番号を変えたわけ?大変だったんだなア。・・・って、オイオイ!!またバカな亊考えてるぞ!

大変なのは、頼まれたわけでもないのに、めんどうを肩代わりしてるこっちじゃんか!

仕方なくも事情説明の仕方が慣れてきているが、しゃべった後で妙に腹が立つ。

ア〜もうっ!電話は厄介だ。

最近、友達との長電話もすっかりしなくなってしまった。

 

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