2000年 雨だれのおしゃべり
大変便利なワカメがある。
干しワカメなのだが、すでに細かくされており、出来上がったみそ汁やラーメンの中にほうり込むだけで
すぐにふやけて食べられる。
一人暮らしの淋しいインスタントにも、これを入れれば「ワカメ入り」になるのだからオススメ品である。
(アメ横辺りで千円も出せば、1〜2年使えるだろう量が手に入るゾ)
そんな便利なワカメの存在を知ったのはかなり近年の亊で、それまで干しワカメといったらゴツくて、
煮物の材料にもなるしっかりモノで、その分しっかり水で戻したりせねば、食べられないと思っていた。
ペラペラの便利ワカメでは、風味や歯ごたえも無くてダメダメとおっしゃる方もいるかも知れないが、
便利さには勝てず、今や従来の干しワカメとは絶縁状態になっている。
しかし、いくら便利でもサラダには、干したモノではうまくない。
サラダといったら生ワカメ!
ところが、よく巷でいう生ワカメは決して生というべきモノではなく、あれは正確には、下処理をして
塩をまぶした「塩蔵ワカメ」である。
本来の生ワカメは、みずみずしい分すぐに腐ってしまうので全国のスーパーになど運べないらしい。
(だって、近所で売ってないもんね。)
なぜ、その真実を知ったかというと、ワカメの本場三陸出身の友人から、新鮮な直送品を分けてもらった
からだ。
地味な、昆布とそっくりな色のワカメを熱湯に入れると、パーッと明るい緑色に変化する。
その変化の様子は、曇り空が一気に晴れ渡るみたいに、悩み事が一気に解決するみたいに、
そのワカメが住んでいた海の色?みたいに鮮やかで美しかった。
すぐに水で冷やし、わさび醤油で刺し身の様に食べてみると、今まで味わったことのない歯ごたえ、
風味、美味!だった。
ああ、本物を知らずして、便利干しワカメで知った気になっていたタカビーな私。
ワカメをとやかく語る筋合いのなかった私。
ワカメをあなどるなかれ。
ワカメを笑う者はワカメに泣く。....確かに、生ワカメは美味すぎて泣けた!!(?)