2000年 あじさいの季節のおしゃべり

 家の中に時計が沢山ある。

目覚まし時計は、ひとつだと止めて又寝たりする性分なので、五つ程並べていたこともある。

しかも、五分ずつ時間をズラしたりして「だまし作戦」も考えた。

しかし、この作戦は失敗に終った。

なぜなら、作戦をしかけたのも、順番にアラームを止めていくのも、自分自身だからである。

そんな自分がアホらしくなり、バラバラな時間を指している目覚し時計は、あちこちに放置された。

その他、壁にも景品でもらったものや、秒針の音が大きくなったり小さくなったりするのや、いくら合わせ

てもなぜか五分進む時計、等々がある。

それらの中で一番正確なのが、にくまん・あんまんの懸賞で当たったからくり時計である。

一時間毎におなじみの名曲が流れ、やなせたかし先生のキャラクター「ニック&アン」(にくまん少年と

あんまん少女)の人形がクルクルと回るしくみになっている。

電池も大きいサイズを必要とする。

新しいのに取り換えると、しばらくはカワイラシイ時計である。

しかし数カ月すると大抵、ニック&アンは動きを止めてしまい、名曲は間延びしたスローテンポになり、

終いには何の曲かもわからなくなり、バケモノ屋敷の効果音そのものになってくる。

なぜかそういう時に限って我が家に来客がやって来て、「あの音は何!?」と震え上がる。

「電池を早く換えなさい」と客に怒られもするが、限界まで取り換えるつもりなどない。

怖かろうと何だろうと、その音が鳴る時間は正確で、時計本来の役目をキチンと果たしているのに、

易々と交換することなど、もったいなくてできやしない。

いくら泣く子も黙る音だろうと。

いくら寝る子も起きる音だろうと。.....

そうか、この時計を枕元に置くと良いかもしれないね!?

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