2000年 おたまじゃくしのおしゃべり
久々に埼京線に乗った。
平行に流れる笹目川を見下ろすと、長い間続いていた整備工事が済んでいた。
ちょっとうれしかった。
護岸にジャリを敷いて、段々にし、コンクリートで固めずに整備してあったからだ。
段々の一番上には遊歩道になっており、景観も良い。
上り進行外環自動車道を境に、護岸は固いコンクリート張りに変ってしまうが、短い距離でも上流の整備
には心がなごんだ。
我が家が埼玉に越した頃、役所の方で河川のモニターというのを募集しており、応募した。
お礼にキッチンの排水口に使う銅のバスケットをもらえるのが目当てだったが、アンケートの提案の欄に、
「護岸整備は、時代遅れのコンクリート張りをやめるべきである。」と書いたのを思い出す。
笹目川の工事を見たとき、果たしてこの声は届いているのかなと半信半疑で注目していた。
確かにコンクリートで固めた方が手っ取り早いし、一見人間に都合が良い様に思う。
しかし長い目で見たときに、水の浄化作用や、実は少しづつ変化する川の流れを受けとめるのに、柔らかい
土や草や砂利の川岸がやはり必要なのだということは、もうずいぶん前から新聞などにも出ていた。
現に、博学でもない私も知っていることなのだから。
今盛んに川の汚染源と問題視されている、米のとぎ汁だって、コンクリート張りのせいで浄化できないのだ
ろうと考える。
問題はとぎ汁ではなく、人間が間違った手入れをしてしまった河川の現状なのだと思う。
しかしまだ、悪循環を繰り返しているアホも世の中には沢山いる。
未来に希望をたくして、改善に力を注げる人々には、感謝とエールを送りたいと心から思う。