2000年春 4月中旬のおしゃべり

街にフラリと出かけてみると、色んなモノがおもしろく見えてくるんだよね。
冬は暗かった街も、春は何だか明るい。ああ、これが爽やかな新緑の季節なんだね。
ちっちゃな青ガエルみたいにツヤツヤした葉っぱの赤ちゃんが、日の光を反射させているからだね。
黄緑色のシャンデリアで、ゴミだらけの公園も明るく見える。
季節のせいか、人もおもしろく見えてくるよ。
エルメスのスカーフみたいな柄のミニスカスーツに黒タイツ。10cm以上のハイヒールのシワシワマダム
が人生を語るように歩いていたり。
浪越さんにそっくりの運転手は「ツボに命の泉沸く」と言う様に、まだ誰も乗っていないバスをニコニコと
カーブさせて行ったり。
今時メークのつもりの女は、まるでピエロだったり。
花屋の主人は、受話器を握って怒声を上げていたり。
優雅なイメージの花屋は、意外と大変らしいよね。花は生ものだし、色々気を使うんだろう。おまけにセンスも問われるしね。そういえば「予算1500円で、素朴な花だけを使った花束を作って下さい。」という難題を、過去何軒かで試したところ、おもしろかったよ。
普通脇役に使われる花達を使って、ステキなブーケを作れたらセンスがいい!というテスト。これは、大きい店ほどひどかったよ。高い花ばっかりいじってるから、それなしでは考えられないのでしょうな。こちらの注文にもムッとした態度。それにひきかえ小さい店では一生懸命作ってくれて、すごい!ってほめたら店員さんも、いいですよねエなんて達成感に浸っていいスマイルを浮かべたりして。
金の亊しか考えてない店にとってはヤな客だけど、「少ない予算で済みません」っていうと、いえいえって笑ってくれる店員さんはきっと、勉強になったなアって受け止めていると思う。そうしてまたその人のセンスはアップするんだろう。それにしても、ハズレの花束をプレゼントされた知りあいは、さぞムッとしてたんだろうな。ワハハ!
金欠でモ知りあいの公演に行かねばならない時など、お試しあれ!?
 しかし電車の窓から見た、あの錆びたハリガネは何を取り付けるモノだったんだろう・・・
トンネルの所にくくり付けられたフックに、ぶらさがったまま錆びている。線路作業員などが取ればいいのに、茶色く錆びて不思議な形になったまま風に揺れている。何年位そのままなのかナ。
でもいつかはあのハリガネに何かをしっかり結ばれて、きっと重要な任務を任されていたんだろうなア。
忘れられた存在・・・
映画「ブエナ ビスタ ソシアルクラブ」の老ミュージシャンの様に、再び活躍する亊はないのだろうか。
春だけど、見知らぬ錆びたハリガネに哀愁を感じるよ。だって物にも命があるんでしょう。
自分が錆びたハリガネだとしたら・・・と空想してみる。
そんなひととき、何が見えるかな? 

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